精神科で学ぶこと

 精神病圏(統合失調症)、気分障害圏(うつ病、双極性障害)、認知症がメインの疾患であるこの3分野に関しては、疾患概念に加えて薬理や検査を把握しておく必要がある。他には、神経症圏(不安障害、適応障害、PTSD)、発達障害圏(ADHD)などがあるが、学生レベルでは深い知識は求められない。意外と一般常識で解けてしまったりする。
 治療に関しては薬物療法だけでなく、精神療法がかなりのウエイトを占めており、こちらも暗記しなければいけない。しかし、精神療法の数はそれほど多くないうえ、適応は多くの疾患にオーバーラップしているため、厳密に覚える必要はない。例外だけ覚えておけばいい(統合失調症に精神分析療法はダメなど)。また、精神科では法律とのかかわりも少し出てくるため、そのあたりも整理しておく必要がある。医療保護入院、措置入院、応急入院などの要件は必須である。
 人によるかもしれないが、精神科は複雑な病態生理が無いため比較的覚えやすいという人も多い。また、うつ病やPTSDなどはもはや身近な話題であるため、他教科に比べてとっつきやすい。簡単な割に医師国家試験では出題数が多く、毎年25問程度となる。確実に得点できるように知識を整理しておこう。

精神科教科書の選び方

通常学習

テストに通るだけなら国試マニュアル100%で十分であるが、うつ病・不安障害などの微妙な症状の違いを理解しようとすると物足りない。そういう人たちはSTEP精神科を使っている。標準精神医学は分量がかなり多く、少数派。

レポート

カプラン臨床精神医学テキストが世界的に有名であり、参考文献としてふさわしい。難しそうなら標準精神医学でも十分。詳細な診断項目を調べるならDSM-IV-TR精神疾患の分類と診断の手引が使える。これは「操作的診断」の解説である。操作的診断とは「〜という症状と・・・という症状があれば〇〇と診断できる。」というような、精神科診断を一定の形式に落とし込んだものである。
研修医や精神科医志望であるならば現代臨床精神医学を使用してみるのが良い。精神科入局者の多くが用いている教科書であり、数年間にわたって使用できる。

精神科の教科書一覧

分類書名
要点国試マニュアル100%
100問ノススメ
DSM-IV-TR精神疾患の分類と診断の手引
詳細標準精神医学
カプラン臨床精神医学テキスト
カプラン精神科薬物ハンドブック?
現代臨床精神医学
TEXT精神医学?
実習精神科面接マニュアル?
内科医のための精神症状の見方と対応?

コメント

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  •  私は精神科志望で、少し一般学生と感覚が違うかもしれませんがレビューしてみます。まず、“カプラン”は値段が高い上に、非常に重く学生が普段持ち歩けるような代物ではありません。私は医局に置いてあるものを利用していましたが、学生レベルでの購入は、例え精神科志望であっても過剰かもしれません。  私は“標準精神医学”と“現代臨床精神医学”を購入しました。前者は詳しすぎず簡単すぎずで、初学者が一通り勉強するのに良い本だと思います。後者は8000円程度で学生レベルの教科書では最も詳しいのではないかと思います。ただし、今時珍しい一色刷りで非常に目を通しにくいです。内容はとても良いのですが。  その他“TEXT精神医学”は失念してしまいましたが何かの分類がこの本だけ他と違っていたので購入しませんでした。しかし、本としては読みやすく、悪くない選択だと思います。  よって、4,5年生で精神医学のことを一通り勉強してみたいという人には、“標準”または“TEXT”をお勧めします。  国試にだけ必要という人は過去問で十分だと思います。国試の精神科はちょっとした用語と、キーワードさえ知っていれば解ける底の浅い問題ばかりです。しかし、全く教科書なしでは心もとないという方は“国試マニュアル100%シリーズ”をお勧めします。私は基本的にこのシリーズはあまり好きではないのですが、精神科に関しては国試レベルと程良くマッチしており、ちょっとした調べ物をする時にはかえって便利だと思いました。 -- 現6年生? 2012-10-31 (水) 17:04:07
    • 大変参考になります!ありがとうございます。 -- 2019-04-01 (月) 10:15:31
  • マイナーはまとめてみたシリーズが1番いいと思う -- 今年受けん? 2015-08-30 (日) 18:14:57
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