概要

 医師の給料というのは医学生、研修医でもよくわからないものであり、ここで真実をお伝えする。また、世間にあふれている医師の給料に関するデータは間違えているものが多く、その訂正の意味も込めている。間違いの例としては、「大学病院勤務の医師は600万円」であるとか「大学病院医師は給料が安いから、バイトしないと生活できない」、「勤務医の平均年収は1144万円である」などである。これらは、コメディカルや医師の友人を名乗る者が質問サイトなどで回答していることが原因であり、参考にならない情報であるため無視してかまわない。

 まず、前提として、医師は土日休みか土曜半分と日曜休みという勤務体系が多い。看護師のようなシフト制ではないことをお伝えしておく。

給料の基本体系

大学病院勤務医

 大学病院勤務医の場合、定期昇給はほとんどない。給料が上がるタイミングとしては、専門医を取る、研究日が増える(=バイト日数が増える)、役職がつく時である。手にする給料は大学からの給料とバイト先からの給料である。大学からの給料は当直代込みで30万円/月程度。残りはバイト代であるが、多くの大学では週に1日研究日が与えられる。これは、勤務の範囲内でバイトに行ける日である。例えば、月曜日や水曜日など、平日にバイトのできる枠をもらう。この日は大学で勤務せずにバイト先に行くのである。大学勤務の傍らバイトをしていると聞くと、休日を削ってバイトに行っていると思われがちだが、そうではない。勤務時間の範囲内でバイトをしているのだ。
 ここで重要なのがバイト代である。週に1回のバイトが勤務医の年収を大きく左右する。詳しくは各診療科のバイト代を見てほしい。勤務医の1日のバイト代の平均は日勤8万円/日である。週に1回日勤のバイトに行くのだが、ついでに当直を組み合わせる医者が多い。日勤8万円+当直5万円程度を週に1回獲得しているのだ。年間50回ぐらい定期バイトに行くとすると、13万円 x 50回=650万円の収入である。これに加えて単発のバイトをしている人がほとんどである。よって、
 大学からの給料30万円+定期バイト13万円 x 4回=82万円/月となる。年収でいうと1000万円程度となる。これが、臨時バイトを一切しない大学病院勤務1年目の医師の年収である。もちろん振り幅はあり、定期バイトで当直を一切やらなければ-200万円である。また、臨時バイトをすれば幾分プラスとなる。それらを考慮すると800万円〜1100万円の範囲となる。ただ、バイト代の高い麻酔科や産婦人科、バイト代の安い精神科に関してはこの範疇を外れることになる。
 次に給料が上がるときとしては、専門医取得、研究日増加時であるが、大体同じタイミングで来る。おおよそ入局して5年目辺りだ。専門医による給料アップは大したことないが、バイトが週に2回できるようになるのはかなりのプラスである。計算してみればわかると思うが、年収は1年目の給料+500万円程度であり、1200万円〜1400万円程度となる。最も給料が安いといわれている大学病院勤務医でこの額となる。
 以上のことからも分かる通り、勤務医の平均年収は1100万円でもないし、大学病院勤務医は600万円でもない。また、バイトしないとやっていけないのではなく、バイトの枠が割り当てられているだけだ。後述するが、市中病院勤務の医師は大学よりも少し給料が高い。
このような間違いがネット上で平然と言われているのも無理はない。医学生、研修医ですら医者の給料に関して詳しく知らないのだから。

  • 大学病院勤務医1年目の給料
    大学からの給料30万円:基本給25万円+当直料5万円
    定期バイト日勤8万円+当直5万円/日
    合計82万円/月

市中病院勤務医

 大学病院が激安で、市中病院に行くと給料が大幅アップすると思われているが、上述した通り、大学病院勤務医はイメージほど給料は安くない。市中病院の方が総じて給料は高めではあるが、学びを主体とする性格の市中病院の場合は、大学病院よりも給料は安く押さえられる。
 市中病院の給料に関しては病院ごとにばらつきはあるが、若い頃は大学よりも少し高い程度、中堅以上になればもう少し格差が出る。そのため、大学で5年から10年務めて専門医を取得した医師は市中病院へ移動する傾向にある。
 市中病院の常勤勤務医ならば1200万円〜1500万円をもらうことができる。そして、開業見習いとしてクリニックの常勤医になれば2000万円程度である。

日本では各診療科間に給料の違いはない?

ある。
総合病院では診療科によらず基本給が一律であるためにこのような風評が流れているが、これは嘘である。診療科間で格差は割りとある。それは上述の通り、医師の給料はバイト代の占める割合が高く、その単価も違うためである。1日単価が5万円異なれば、週1回のバイトとすると200万円の差が出る。バイト日数が増えればそれだけ差も顕著となる。
なので、日本でも診療科間で格差はあるといえる。

医者は忙しくて家に帰れない?

あえて忙しくしているのである。本業の勤務だけで家に帰れない日が続くことはない。その医者が好んで当直バイトを入れているがために家に帰れないだけである。上述の通り、当直バイトである程度のお金がもらえる。寝当直では単価は安いが4万円/日はもらえるため、本業が終わった後に寝当直のバイトを入れるのだ。寝当直だから高頻度に入れてもこなすことができる。忙しくないからこれだけの当直をこなせるのである。「家に帰らない」と聞くと、いかにも担当の患者の具合が悪くて病院に張り付いているイメージになるが、決してそうではない。これでは仕事効率が悪すぎる。

コメント

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  • 目から鱗だぜ!!! -- 2016-09-21 (水) 18:38:19
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