クエスチョン・バンク否定派の三苫の講義。
かなり分量が多いので、時間のある5年生は使ってもいいかもしれない。
主に三苫先生が担当するTECOMのメイン講座。病態生理を重視し、問題解説を覚えるのではなく疾患概念を明確にイメージすることに焦点を当てている。「覚えるな。考えろ。」が口癖。
SELECT全体の知識量としてはクエスチョン・バンクに比べたら多くはないが、講義の時間が大量にあり、さらにノートも手書きなので、消費するのには時間がかかる。毎日3単位見るとしておよそ5〜6時間。SELECT臓器別は130単位ぐらいあるので、そのペースだと一通り見終わるのには2か月近くかかってしまう。
病態生理をわかりやすく解説してくれるので、疾患理解が進みやすい。定期試験等の対策では過去問暗記中心になってしまい、「なぜそうなるのか」ということに目を向ける時間が無い場合があるが、そうした分野の導入・復習に最適である。
医師国家試験を見据えた場合、情報量が不足していると言わざるを得ない。「SELECTで十分。クエスチョン・バンクは捨てなさい」と言っているが、色々な視点で見た場合少し心もとない。例えば甲状腺機能亢進症の講義であるが、さらっと総論を触れただけで、亜急性甲状腺炎やBasedow秒の細かな治療までは手が回っていない。どちらも頻出事項であるので、これでは国家試験に向けて心もとない。付属問題集も含め、知識量としてはクエスチョン・バンクに劣る。
付属の問題集は明らかにクエスチョン・バンクに劣る。一言でいえば、解説の質が低い。収録してある問題はクエバンを参考にしているのかほとんど同じであるが、解説に差がありすぎるため、迷っている方はクエバンをメインとして使うことをお勧めする。三苫問題集の解説は、あっさりしすぎているというか、講義を聞いて書き足していかなければ症例の全貌が入ってこないような解説となっている。ただ一方で、内分泌などはやたら解説を長くしているが、これも微妙。非常に見づらく、重要な症候の解説が抜けていたりする。
小児の問題はクエスチョン・バンクと比べて明らかに分量が少ないが、これは総論中心で各論は各臓器別に任せているためである。
科目 | 単位数 |
循環器 | 11 |
呼吸器 | 9 |
腎臓 | 5 |
消化器 | 12 |
内分泌代謝 | 9 |
血液 | 7 |
免疫 | 4 |
神経 | 9 |
感染症 | 5 |
産婦人科 | 11 |
小児科 | 8 |
必修の罠 | 8 |
マイナー | 27 |
画像診断 | 8 |
禁忌 | 6 |
※1単位は60分〜90分
問題集の解説がないので復習ができない。
「必修では状態良好、青信号なら経過観察!」これを声高に叫んでいたが、108回で状態良好のコイン問題が出題され、経過観察は不正解となった。
中堅〜下位層の導入に向いている。もちろん上位の人でも講義を聞くことで新たな発見はあると思うが、時間対効果を考えるとお勧めできない。
ノートを作る際は余白を多くしておいた方がよい。前述のとおり、講義だけでは情報量はかなり少ない。三苫ノートを基本としながら自分の調べたことや問題集を解いて発見したことを書き足していくのがよい。
5年生のうちに講義・問題集を一通り見ておき、6年生になったらその知識をもとにしてクエスチョン・バンクを解いていくと勉強が進みやすい。