病理組織の見方と鑑別診断と同じ位置づけの教科書であり、多数の病理標本が載っている。全系統を網羅しかつ総論範囲に関する記述もあるという点で、初学者向けの内容といえる。ページごとに区切った解説は簡潔でありながらポイントを押さえており、写真との対応も良く、読みやすい構成になっている。ロビンス基礎病理学?や標準病理学にも病理写真は掲載されているが、その数は組織病理アトラスとは比較にはならない。
アトラスというとどうしても単なる写真集というイメージがわきがちであるが、組織病理アトラスは写真とともに簡潔な解説が添え付けられているため、これを読むだけでも勉強になる。
医学生の所有率としては病理組織の見方と鑑別診断に軍配が上がるが、病理を学ぶという点では組織学アトラスも優れた内容となっている。病理組織の見方と鑑別診断は臨床に繋がる内容となっている。どちらを選ぶにしても、高学年、研修医になってからも使用する教科書であるので一冊は手元に置いておくと役に立つ。
・臓器別にその発生や構造、機能、主な疾患のリスト、関連病変に関する簡潔なまとめが載っている。
・写真の下に対応する文章があり、病理のことについてまとまっているので読みやすい。
・ところどころに収載されている「癌取り扱い規約」的内容も便利。
・小児病理も独立した章として特徴的な疾患を記載されている。
・分類が臓器別なので疾患からは引きにくい。
書名 | 著者 | ページ数 | 出版社 | 発売日 | 価格 | Amazon |
組織病理アトラス | 小池盛雄ら | 527 | 文光堂 | 2005/04 | 12,600円 | ○ |