薬理学はどの大学でもテスト、実習ともに大変な科目となっているようである。麻酔薬、抗精神病薬、心臓、抗生物質等々の総論があり、さらに細かい薬の名前まで覚えなければいけないとなると相当なボリュームとなる。実習に関しても、生き物を使った実験なので細心の注意を払わなければいけないし、薬理作用は個体によってブレがあるため解析が難しい。なかなか苦労する科目である。
薬理学で重要なのは総論であり、この部分がしっかり書かれている教科書を重用したい。逆に、各薬剤別の細かい作用はメジャーなもの以外は覚えなくてもいい。そこまで覚えていると時間がなくなってしまう。実習レポートに用いるためにある程度詳しいものを選ぶとすると、NEW薬理学がおすすめである。テスト対策にもレポート考察にも使える万能な一冊であり、現在医学生、薬学生から最も支持を得ている教科書である。標準薬理学は他の標準シリーズほどの詳細解説はないため、ここではあまりアピールポイントがない。NEW薬理学以外では、カラー図、まとめ記述のしっかりとしたリッピンコット薬理学がいい。薬理作用の機序が分かりやすく図示されている。
薬理作用の理解を深めたかったり、臨床研修の前の復習として読むのならば病態生理に基づく臨床薬理学が適している。その名の通り、病態と薬理を結び付けて解説してくれている。
2014年、薬がみえるが発売されたことにより、薬理学教科書の情勢が変わった。それまでは上記の教科書でOKであったのだが、薬がみえるの出来が良すぎるために、こちらに流れてきている医学生は大変多い。この本のメリットは、病気がみえる同様に図説の多さであり、複雑な薬理反応を一枚の絵で覚えることができる。もうこれ一択なのではないだろうか。と思われるが、基礎医学の定期テストという点でみると、薬がみえるは臨床よりであり、基礎医学的な内容に焦点を当てづらい。ボリュームも多いため、オーバーワークになりがちである。一方で、医師国家試験以降の対策は本書で十分すぎるであろう。ただ、レポート作成に関しては弱い。
分類 | 書名 | 詳しさ |
和書 | カッツング薬理学 | ☆☆☆☆☆ |
病態生理に基づく臨床薬理学 | ☆☆☆☆ | |
ラング・テール薬理学 | ||
薬がみえる | ☆☆☆☆ | |
NEW薬理学 | ☆☆☆ | |
医系薬理学? | ||
標準薬理学 | ||
リッピンコット薬理学 | ||
シンプル薬理学 | ☆☆ | |
一目でわかる薬理学 | ☆ | |
洋書 | The Pharmacological Basis of Therapeutics | ☆☆☆☆☆ |
Rang & Dale's Pharmacology | ☆☆☆☆ | |
Principles of Pharmacogenetics | ☆☆☆ |
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