出版社 | MEDSi |
著者 | |
ページ数 | 3132 |
出版年 | 2017年3月24日 |
価格 | 32,184円 |
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世界的な内科学書である「HARRISON'S PRINCIPLES OF INTERNAL MEDICINE」の邦訳版である。原著は2019年現在20版を数える。世界のゴールデンスタンダードは日本でも重宝されている。
日本の医学教育においては朝倉内科学と並ぶ内科学の書とされている。朝倉内科学の方が図表、写真は多いが、情報量はハリソンの方が上である。本書はとにかく情報量が多く、ときには論文レベルの難しい内容までもが載っており、知的好奇心の旺盛な学生に多大な人気を誇る。反面、テスト等に対する効率的な勉強をしようと思うとポイントが絞れずに辛い思いをする。内科学を学ぼうと思うならハリソンで、試験対策をしようと思うなら朝倉内科学を選ぶといいかもしれない。
朝倉内科学が「内科学全体をさらっと記述した」のに対し、ハリソン内科学は「内科学全体を深く掘り下げた」ものである。朝倉内科学が簡易的教科書などのサポートを必要とするのに対し、ハリソン内科学は一冊で十分定期試験や医師国家試験に対応できる情報量を兼ね備えている。
ただし、問題点は日本基準ではないことである。情報量は十分でも、本邦の基準に合っていないと使いづらい。例えば、本邦とアメリカでは各疾患の疫学は異なるため、重点を置く疾患が異なる場合もある。「日本の臨床に即していない」という点が最大の欠点であると思われる。
翻訳版にありがちな読みづらい邦訳も少ない。医学洋書の翻訳版としての正確さは傑出していると言える。その上サポートが充実しており、誤訳もホームページで確認できることもありがたい。
医学生としてはややオーバーワークであるが、将来内科系に進もうと思うなら買っておいてもいい本である。医師国家試験の際の調べものにも使えるし、入局してからも使えるため、とことん役に立ってくれる。
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