概要

出版社メディックメディア
編集医学情報科学研究所
分類簡易的教科書
ページ数300〜600ページ
価格帯3,500円〜4,200円
改定5〜7年
分野1.消化器
2.循環器
3.糖尿病・代謝・内分泌
4.呼吸器
5.血液
6.免疫・膠原病・感染症
7.脳・神経
8.腎・泌尿器
9.婦人科・乳腺外科
10.産科
11.運動器・整形外科
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解説

 2000年代初頭頃から市場に出始めた図表を中心とする教科書である。医療情報科学研究所?が発行する。元々STEPシリーズが優勢であった簡易的教科書の勢力を変えたシリーズである。
 元々、医学生の使用する教科書というものは「文字ばかりで読むことに苦労する。」という特徴があり、STEPシリーズはもちろん、標準シリーズなどもその傾向であった。そうした傾向のほうが、「真面目」「深く理解できる」というようなイメージがあり、読みづらいけどそれを使うという盲目的というか美徳というか、そのような傾向があった。そのため、本シリーズが出版された当初は、「看護学生向け」というような立ち位置であったが、内容は実は深いということが年月を経る過程で認識されていった。それとともに出版社側も医学生がより満足できるないようにと、出版当初の方向性からやや修正したのか、改定のたびにページ数が増やされ、内容が充実された。
 2000年代初頭の時点ではやや物足りない内容ではあったのだが、最近の充実度は目覚ましく、ある程度授業をきっちり聞いている方であれば、これ1冊でも十分立ち回れるぐらいとなっている。

使い方

 本シリーズは、高校課程でいうところの「歴史の資料集」的な教科書である。見開き左右2ページを基本に構成しており、右側に各単元の要点が箇条書きでまとめられてはいるものの、あくまで図表、写真が中心であり、それに対する説明が数行程度で加えられている。こうした構成は、授業や定期試験でとても役に立つのである。定期試験の対策は学校のテキストや配布プリントが中心になると思うが、こうしたプリントは文章の説明だけで図表がほとんど載っていない。そこで、プリントと病気がみえると照らし合わせながら勉強することで、学校の範囲に対してオーバーワークにならずに、授業で勉強したことをイメージとして再確認できるのである。また、通読にそれほど時間がかからないため、全体を通したイメージをつかめるのもいいところである。朝倉内科学は量が多すぎて通読なんてできない。病気がみえるを通読することで、その科目の全体量や学ぶべき内容を把握できるのはメリットである。2時間もあれば楽に読みとおせる。
 欠点としては、この本だけで独学をするのは難しいというところである。文字が少ないため、初学者は図を見ても何を覚えていいかわからないからだ。そのような人は、朝倉内科学ハリソン内科学と併用しながら学習を進めていけばいいと思う。また、索引の掲載語句が使いづらいため、最初のうちはかなりが使いづらい。例えば、消化器の「て」の欄には8個しか単語が載っていない。そのため、何回も読みとおした人ではないと瞬時に検索はできない。

再評価

 勉強を進めれば進めるほどこのシリーズの重要性が分かってくる。以前はSTEPシリーズ病態生理できった内科学と3つのうちどれを使うかというスタンスで解説していたが、どんな教科書を使用するにしても、それとは別に病気がみえるを手元に置いておくことに損はない。知識が視覚化でき、見事に整理される。
 2010年初頭、「大学教員間での評判は芳しくない」という声を聞いた。確かに従来の文字ばかりのテキストと異なり「これが医学書?」という雰囲気である。ただ、内容は確かであり、これ1冊あれば定期テストも医師国家試験も網羅してしまうぐらい情報は詰まっている。
 2021年、もやは確実な市民権を得ている。first choiceが「病みえ」でも全然悪くない、というか、効率よく勉強できる一つの手段にすらなっている。

good

  • 循環器、産科の評判がいいので、その巻だけを使用してもいい。
  • 直感的なイラストが多く、初学者などが消化器疾患の全体像をサッと知りたいときに役に立つ。
  • 症状別病気リストが便利。
  • 単なる絵だけでなく、心電図、エックス線写真、USなどの画像診断所見が豊富であり、文章だけではよくわからない形態的変化がまさに「見える」。
  • 慣れない専門用語には訳注が付いている。

bad

  • 索引が使いづらい。
  • 内科的な基礎疾患がメインで、国試には足りない部分もある。ただし、循環器や産科は十分と感じる。

コメント

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  • どんどん進化している。 -- 2019-03-30 (土) 20:32:22
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