概要

出版社日本医事新報社
編集坂井建雄、河原克雅
出版日2017年1月
ページ数904
改訂2→3版で5年
第3版
価格19,440円
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解説

 解剖学を生理学の視点からとらえた一冊である。人体の正常構造と機能シリーズはシリーズは10冊あるが、それが一冊にまとめられた本である。ここでは解剖学の教科書にカテゴライズしているが、この本は2年生で学ぶ、解剖、生理、生化、組織の基礎的な内容を網羅しているという強みがある。特に、生理学と神経解剖学はこの本があればかなり心強い内容となっている。解剖と生理の内容が合わさっていることで、各臓器の構造と機能のつながりを実感できる。そして、マクロ的な視点とミクロ的な視点が一つながりで掲載されているため、読み進めていくに従って器官レベルの話が細胞レベルの話になり、組織学とのつながりも実感できる。
 見開き2ページで一つのテーマを扱っており、フルカラーであることも相まって見やすい構成となっている。ページは図に大部分を割いているため、通読にも時間がかからない。何回も読んで全てを暗記しても決して無駄ではないレベルである。
 ただし、これだけ広範囲の内容を一冊にまとめているため、一つ一つの内容はそれほど深くない。それでも定期試験等ならば十分対応できる。10冊をばら売りで買うと、1冊6000円程度する。3冊買ったら縮刷版の値段に達してしまう。ばらで買うなら2冊までするほうがいい。

Good

  • 神経系の部分は2章に分かれていて図が豊富なので学習しやすい。
  • 造血幹細胞から分化,成熟する仕組みはイメージしやすい。
  • 造血幹細胞、分化・成熟のプロセスをトレースしているのではなく、抜粋なので,本格的に知りたい人には不十分かもしれない。
  • どの教科書よりも図の占める割合が多く、初学者には最適の本。
  • オーバーワークになりがちな医学部の教科書の中では、最高にコンパクトにまとまった良書。これを全て暗記することで試験対策になる。
  • 図が印象に残りやすいので、ぱっと見ておくだけでも予習になる。
  • これ一冊で、解剖学・生理学・組織学の基礎知識を身につけることができる。
  • 血管の分布については微妙に色分けしてあるので明解であり、重要な血管名は太字表記されているので覚えるポイントがわかりやすい。
  • 海外の優良な解剖生理書は多数ありますが、日本人の著者によって書かれているので、日本人の視点からみてまとまっていて勉強しやすいのも本書の長所の1つといえる。

Bad

  • バラ売りの値段が高すぎる。
  • 解剖や組織の知識を網羅しているとは言っても容量的に限界があり、これ一冊で解剖学の試験対策ができると言うほどではない。

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